アーバニック30が愛する都市、
そしてそこで出会った女性たち。
それぞれの都市が持つムードと活気に似た彼女たちは、
どのようなスタイルでアーバニック30を着こなしているのでしょうか。
暮らす街、年齢、好みは異なりますが、自分らしくアーバニック30のスタイルを自由に楽しむ女性たちから、私たちは素敵なインスピレーションを得ることができます。
様々な都市の人々、そして多彩なセンスをアーバニック30を通してぜひご覧ください。
Mona Yamaguchi, Tokyo
幼い頃、唯一の趣味であった料理に対する情熱と、自分ならではの哲学を込めたカフェビストロ「 Cyōdo(チョウド)」でオーナーシェフとして活躍している@bisous_mona44山口萌菜。LPレコードの旋律が心地良く響くシェフの空間で、素朴さの中に繊細さと愛らしさが息づく、美食の世界を紡ぐ彼女に話を伺った。
食や空間、自身の好みについて、 山口萌菜と交わした対話。そして、アーバニック30のために用意した料理のレシピ。
山口萌菜が着用した製品は、インディゴ・ワークジャケット、ルミスリーブレス、ユニオンパンツ・パティシエ、フィッシャーマン・サンダル、ウェザード・ショルダーバッグ、ワックスコード・ブレスレット。
Urbanic(以下U):どのようなお仕事をされているのでしょうか?
Mona(以下M):現在、東京の幡ヶ谷にあるカフェビストロ「Cyōdo」でオーナーシェフとして働いています。
U: Cyōdoをオープンしたきっかけは何ですか?
M:幼い頃からクラシックピアノを習っていたので、ピアノとともに生きていくこと以外の選択肢について考えたことがありませんでした。田んぼに囲まれた三重県の田舎で暮らしていたので、ピアノのレッスンと練習以外に、時間を見つけて楽しめる趣味は、料理くらいしかありませんでした。小学生の頃、両親とヨーロッパの田舎を転々とした記憶や両親が集めたたくさんの本、そしてクラシック音楽と料理、そうしたものがきっかけになって、もしピアノを仕事にできなかったら、やってみたい仕事の一つとして、漠然とではありますが、料理に携わる仕事を思い描いていました。
三重県から東京に上京し、イタリアンレストランで初めてアルバイトをしたことをきっかけに、飲食業に対して情熱を抱くようになり、さまざまな種類の飲食店を掛け持ちして働くようになりました。ですが、飲食店で働くことが大好きな気持ちとは別に、改善されない労働環境、正当な給与で評価を得ることが難しい現実に挫折し、一時期はこの仕事から離れたこともあります。それでも、料理に携わる仕事への思いを断ち切ることができず、毎週末、ケータリングやポップアップなどで料理の提供を続けていました。そんな時に、以前の店舗の建物のオーナーから、自分の物件で店を開いてみないか、と声をかけていただき、お店を始めることになりました。Cyōdoは、もともとその場所にあった店舗が撤去された後にオープンしたお店です。
U:今回の撮影で作った2品は、どのような料理ですか?レシピもご紹介いただけますか?
M:「桃のコンポートとクレームバイオレット」は、沸騰したお湯にくぐらせて皮をむいた大きめの桃を、白ワイン、ローリエ、砂糖とともに軽く煮た後、しっかりと冷まします。アメリカンチェリーに砂糖を加えて煮詰めて作ったチェリーソースには、ローズリキュールを加えておきます。乳脂肪分35%の生クリームを6分立てにし、チェリーソースを少しずつ加えながら薄紫色のクリームを作ります。冷やしておいた皿の底にチェリーソースとローズソースを少量広げ、その上に桃のコンポートとクリームを乗せます。ソースの上に透明な膜を張るようなイメージで、コンポートジュースをそっと注げば完成です。
もう1つのメニュー「鮎のコンフィと胡瓜」は、下処理をした後、しっかりと水気を拭き取った鮎に、塩分濃度が1.3%になるよう塩をまぶし、バットに並べて約10分間塩をなじませます。その後、鮎が浸るくらいまでオリーブオイルをゆっくりと注ぎます。そこに、セージ、タイム、ローズマリーを枝ごと加え、100℃のオーブンで3時間加熱し、一晩かけて十分に冷まします。コンフィに使ったオイルをフライパンにひき、鮎を乗せ、強火で皮がパリッと香ばしくなるまで両面を焼いていきます。その間に、胡瓜をスライサーで切り、薄く切ったピクルスと合わせ、少し濃いと感じるくらい塩を加えて漬けておきます。皿に胡瓜とピクルスのサラダをふんわりと盛り、その上に焼いた鮎を乗せ、胡瓜にかかるようエクストラバージンオリーブオイルをひと回しかければ完成です。
U:新しいメニューを開発するとき、どこからインスピレーションを得ていますか?
M:少しずつ集めている古い料理本やエッセイ、自然の色彩、写真などからです。それから、飲食店のメニューに並ぶ単語の組み合わせを眺めることも、とても好きです。
U:1年に2~3回はフランスを訪れると聞きました。どの街がお好きなのか、また特別な思い入れがある場所などがあれば教えていただけますか?
M:今年の4月に訪れたノルマンディーは、海辺に位置する可愛らしい街でした。その街にある「セレン(Selene )」は、女性オーナーが一人で切り盛りしているレストランです。まるで誰かの家に招待されたような温かさと、常連さんたちの雰囲気、そしてひたむきに働くオーナー、ミリーの姿が、まるで映画のワンシーンのように心に残っています。
また、パリのベルヴィルにある「ラ・カニョット(La Cagnotte )」というカフェ兼バーもお気に入りです。私が思い描く理想のカフェ、そのもののような気がします。観光客で賑わう場所ではなく、お客さんがそれぞれの日常の中でこのカフェに足を運び、心のよりどころとしている場所です。お客さん同士が挨拶を交わしたり、何気ない会話を楽しんだりする姿を見ることができます。朝、ここで大きなクロワッサンと濃いめのカフェ・アロンジェ(Café Allongé)を飲むことが好きです。
U:フランスで触れた味や風景、空間の雰囲気などがCyōdoのメニューや空間づくりに影響を与えていますか?
M:そうですね。旅先で目に留まった色や食材の組み合わせ、インテリアなどをノートにたくさん書き留めておきます。フリーマーケットでお皿を両手に抱えるほど買い込み、旅行カバンいっぱいに詰め込んで帰ってくることも、いつものことです。
U:料理だけではなくお皿や音楽、照明、お花など、空間を構成する要素も、とても大切にされているように感じます。こうした部分で、特に大切にされていることは何ですか?
M:もしかすると、自分の内面と繋がる部分かもしれませんが、可愛らしいものが好きでありながらも、その根底には、少し素朴で荒々しい雰囲気のあるものが、このお店によく似合うと思っています。基本的には、自分の心に正直に、ときめくものを選んでいますが、そういうバランスはいつも意識しています。
U:料理をしたり、お店を営んだりする中で、一番好きな瞬間はいつですか?
M:ここで時間を過ごしながら交わす会話、そして、訪れてくださったお客さんが私の料理を気に入ってくれたと感じる瞬間です。育児中のお母さんが、なんとか時間を作ってお店に訪れ、「この時間が毎日を生きる力になります」と言って帰られた時には、嬉しさのあまり涙が出そうになりました。
U:今回の撮影で着用したアーバニック30の服は、いかがでしたか?
M:私がものを選ぶときに大切にしていることと、重なる部分があると感じました。実際にお会いしたアーバニック30のディレクターの方から受けた印象のように、女性らしさの中にまっすぐさと誠実さ、そして揺るぎない決断力がそのまま表現されているように感じました。ワークウェアらしいデザインにフェミニンな要素が加わり、生地もしっかりとしていて、とても心が躍りました。
U:これから先、Cyōdoを通して新たに届けたいものや挑戦したいことはありますか?
M:私自身が一度挫折を経験したように、女性が飲食業界で働きながら子どもを産み、個人としても充実した暮らしを送ることは、業界の構造上とても難しいことです。私だけではなく、スタッフたちも自分の好きなことを仕事にし、一生懸命働いた分だけ個人の暮らしも豊かになる、そんな環境を整えることが、創業当初からの私の目標です。
そして、カフェと商品の販売に特化した、新たな空間も作ってみたいと思っています。私自身の視点で選別した、暮らしにまつわるものを販売するお店にも挑戦してみたいです。その他にも、料理教室、結婚式やパーティーでのコース料理などに、活動の幅を広げていくことも、現在の私の目標の一つです。